「決定的瞬間」という言葉に象徴されるように、写真作品には必ず特定の時間の光が定着さ
れている。
そのような写真に内在する唯一の時間を相対化・複数化する試みとして、同じ場所から異
なる日時に長時間露光によって撮影された複数の写真を並置する。それはクライマックスを
避け、徹底的に日常的な風景でありながら、一つの光景の中に複数の時間を織り込むという
単純かつ真剣な試みだ。
同じ場所に何度も通い撮影することで、同一の場所に潜む複数性がどのように立ち現れてく
るか、この現代の異時同図は認識のレイヤーを揺り動かし、世界の多層性を暗示するだろ
う。
Kunihiko Katsumata
2000年より開始され、現在も世界各地で撮影が進行中。